last.virgin




和久井君から聞いて、後から知った話によると、私はいつの間にか峠のクイーンと走り屋の間で呼ばれていたらしい。



クイーンなんてダサいあだ名がついていた事すら知らなかった私は、ただ急いで峠を下っていただけだったのに。



クイーンは実は本物のレーサーらしい。
クイーンは絶世の美女らしい。
クイーンに勝ったらクイーンと付き合う事が出来るらしい。



尾ひれに背びれがまでが付けくわえられた噂は一人歩きしてしまって、私と言う存在は峠の名物と化してしまっていた。



クイーンと挑戦する為に、県内外から、遠くは九州外からもその挑戦者は訪れて来ていたようで。



何にも知らなかったのは私だけで、和久井君は何度となく私に挑んできたらしい。



和久井君は私に蹴られた後も、何度も私の後ろについて走るようになり、いつの間にか私達は仲良しに。



お互い学校は違ったけれど、休みの日などには二人で出掛けるようにまでなった。



今まではお兄ちゃんのせいで誰も私に話しかけてくる同い年の男の子なんて居なかったから、初めて出来た男友達に私は喜びを隠しきれなかった。



和久井君は私のする事がいちいちツボにハマるらしく、よくお腹を抱えて笑い転げた。



ある日和久井君をうちに招待した時、凄い田舎の山の中でドン引きされるかと思ったけど、和久井君はそんな素振りすら見せず、両親や祖母にきちんとした挨拶をして、私は益々和久井君に好感が持てるように。



ただお兄ちゃん一人が和久井君が挨拶しても完全シカトで。



「お兄ちゃんの態度悪くてゴメンね…」



そう言う私に和久井君は。



「いや、気にしとらんよ、そのうち認めてもらうけん」


「?…、なんば認めてもらうと?」

「そりゃあ…、遙の…」


「俺は認めんけんな」



お兄ちゃんが会話に割り込んできて。



「和久井…、つったっけ?俺と勝負して勝てたら認めてやらんでもない」



勝負?