last.virgin




幼い頃はお兄ちゃんが大好きだった。



大きくて優しくて、いつも忙しく働いている両親や祖父母の代わりにいつも一緒に遊んでくれた。



私の住む実家は山の中で、近所には同い年の子供なんか居なくて、いつもお兄ちゃんと一緒に裏山を走り回っていた。



お風呂も眠るのもいつも一緒。



それが当たり前のように私とお兄ちゃんは仲良しだった。



そんな生活が一変したのは私が中学に上がってから。



中学に入学したら、同級生、上級生、先生までもが私に対する反応がおかしい事に気付いた。



まず目を合わせてくれない。
みんなが私に敬語を使う。
他の人から私に話しかけてくれない。



だから当然友達なんか出来なくて。



私は意を決してある一人の女の子に声をかけた。
するとその子は。



「ひぃっ!ごめんなさいっ!こっ、殺さんでっ!」



………はい?



「円(マドカ)さんには言わないで!」


「…何で、お兄ちゃんに言うと?」


「だって円さん、あなたのお兄さんなんですよね?」


「そうやけど……何でうちのお兄ちゃん知っとると?」


「だって、あの円さんでしょ?知らない人、いないと思います……」


「何で?」


「あの白虎連合の総長でしょ?」


「ビャッコ連合?何処かの組合?農協みたいな?」



五つ年上のお兄ちゃんはまだ高校生なのに、何でそんな組合に所属してるんだろうか?


「白虎連合ですよ!西日本最大と恐れられてる、あの暴走族のトップですよ?!」



………暴走族?



お兄ちゃんが?