「げ、また教科書がねぇ・・・」 仕方がないので昼休みに士塚忍に借りに行く。 「おい。士塚忍、教科書―――」 言いかけて教室の入り口で足が止まった。 士塚忍の席にでっかくて豪華な重箱が並んでいて、清香と二人仲睦まじく食事をする姿が目に飛び込んできた。 ・・・んだよ、それ。 私、朝、弁当渡したよな? そりゃ、重箱とは比べモンにならねぇようなショボイ弁当だけどよ。 ぐっと拳を握って、私は教科書も借りずに身を翻した。