守ってあげちゃう


気配はとうに失せ、私は溜息を吐いて踵を返す。


まぁ、こんなことは珍しくナイのでほっとく。








そんなことより、今の私には重大かつ深刻な悩みがあんだ。





その時、廊下を一人の男子が駆けてきて、隣を擦れ違おうとしていた男子に声を掛けた。



「会長~。こないだの書類なんですけどー。」


「ん。アリガトウ。」




その声に私は驚いて目を見開き、男に顔を向けた。





―――この声。





視線があって、少しだけ驚いたような顔をした男は不意に小さくほほ笑んだ。