下のヤツ等が誰一人動けないのは蜘蛛の巣みたいに張り巡らされた糸に囲われているからだ。
迂闊に動けば切り刻まれる。
士塚忍はその一本に器用にバランスを保って立っていた。
「・・・いつの間に・・・」
あれだけ間断ない攻防を繰り広げているどの隙にこんなものをしかけたんだ。
これが士塚忍・・・いや、
ライの真の力。
夜風に髪を緩く揺らしながら、ライがすうっと目を眇める。
「じゃ、今日はお仕置きということで。」
「っ、ヤメロ!」
叫んだ宵が蜘蛛の糸に腕を切りつけられながらもナイフを放つ。
士塚忍は無表情にそれを交わして腕をゆっくり振った。


