どす黒いオーラを発している兄は私の言葉を綺麗にスルー。
「ヘンな声が聞こえると思って来てみりゃ・・・このどぶ鼠が、どこから紛れ込んできやがった・・・」
「いや~、俺の人生そんな美しくないっすよ♪」
「誰が歌のハナシなんかしてんだ!」
「うわわっ!お兄さん歳がバレますよー。」
初対面のハズなのに、中々仲がよさそうだ。
兄が繰り出す突きを士塚忍は私を盾にかわす。
遅まきながらバタバタと足音がして、厳つい男達が駆けつけた。
「若っ。何の騒ぎですか!?」
「なんだ、このガキ!いつの間に入ってきやがった!?」
ぎろっと兄が鋭い双眸を向ける。
「・・・おめぇら、こんな奴の侵入許すったぁ、何してやがったんだ。寝てたのか?ああ?」
低くドスの効き過ぎる声に、兄よりずっと年嵩の男たちは否応なく震えあがった。
やれやれ・・・とんだ大騒ぎになっちまったな。


