まるで燕のように―――気配より早く空気を割くように肉薄する。
私は立ち尽くしたまま、右手に持った刀をゆっくりと左に持って行く。
右足を大きく踏み込み力の限り右腕を引いた。
―――ザンッ
乱れる敵の気配。
バランスを崩しながら着地した敵に返す刀で一閃を閃かせた。
「一筋縄ではいかないヒトだね。」
離れた場所で一清が面白そうに笑っているのが忌々しいったらありゃしねぇ!
あったりまえだ、くそったれ。
オマエの思い通りになって堪るか!
間髪入れない攻撃に息が上がる。
敵を打ち過ぎた腕がびりびりと痺れて感覚が乏しくなっていく。


