呆れ果てつつ、部屋のドアを開けた。
シュン―――
間髪入れず聞こえた空気の僅かな唸りに、反射的に横へ飛びのく。
「ぎええええええ!!」
あ、士塚忍のコトすかり忘れてた。
絶叫を放ったトコロからして、偶然にも難を逃れたらしいが。
「うおーっ!コエー!チョービビったぁあ!!いきなり真剣とか、マヂありえねぇんすけど、何このヒト!!」
私の後ろへ隠れてギャーギャー叫ぶ。
私はそっと溜息を吐いて、いきなり太刀を振り落としてきた男に顔を戻す。
「その物騒なモン、さっさと納めてくれませんか、兄さん。」
艶やかな黒髪。
二重瞼のぱっちりした双眸。
すっと通った鼻梁。
モデルのような長身の・・・
一見すると優男なコレは、私の兄・鮫島牙一。


