「・・・・士塚・・・しのぶ・・・?」
この男は―――誰、だ?
同じ顔、同じ姿をしていても全くの別人がそこにいた。
雰囲気が違う。
普段のオチャラケが幻みたいに、整った容姿に見合う性格を持った完成された人間。
だけど、全くの別人じゃないのを私は確信している。
半信半疑な呼びかけに、私を抱きかかえていた男の口元が僅かに笑みを浮かべる。
「ライ、だよ。美姫」
・・・・ライ?
ライヤー・・・・
「・・・・ウソツキ・・・」
取りとめもなく呟いた言葉に、士塚忍はクスクスと笑った。
そして何を思ったか突拍子もない話を始めた。
それはまるでお伽噺のような・・・・


