私は自由になった手を摩り、徐に男の顔面に拳を叩き付けた。
「この女―・・・・」
隣にいた男も殴る。
二人がもんどりうっている隙に部屋を飛び出した。
「待て・・・っ!」
「女が逃げたぞ!!」
男の叫び声に慌ただしい足音が追ってくる。
宵のことが心配だったが、このままじゃ奴らに捕まるのは時間の問題だ。
絶対助けるから・・・待っててくれ。
階段を降りようとして、下から迫る足音に上に駆けあがる。
錆びたドアをこじ開けて屋上に出たトコロで捕まった。
「放せっ!!」
腕を掴んだ男を蹴り飛ばして間合いを取るが、取り囲む男は十数人。
「手間取らせやがって・・・・」
低くそう呟いた男の手でギラリとナイフが光った。


