「・・・宵・・・」
後ろにいたのは荒川宵。
「心ここにあらず。何度か声掛けたケド気付かなかったみたいだし、溜息吐いてたようだし・・・何かありましたか？」
「・・・いや、何もねぇよ。」
穏やかな宵の顔を見たら、強がりでもなくそう言葉が出た。
何となく、コイツのこういう顔見てると落ちつくんだよな。
それで、どちらからともなく一緒に校門を抜ける。
独りを寂しく感じていたからなおさら宵といるのはとても心地よくて・・・
だから、うっかり忘れてたんだ。
自分がどんな立場のヤツかってコトを。
どうしていつも独りで帰ってたのか、なんて単純なコトを。
