放課後は、秘密の時間…

横から伸びてきたのは、もちろん市川君の手。

あたしが眺めていたストラップを手に取ると、にこっと微笑む。


「買ってあげるよ?――ほら、プレゼント!」


どうしよ?


ストラップなら、今すぐにつけれるし……

携帯を使う度に、市川君のこと思い出して、きっと幸せな気持ちになれそう。


うん、いいかもしれないけど……

やっぱり、値段にもよる。


市川君、学生だし、あんまり高いものはダメだもん。

ストラップなら、そんなに高くはないとおも――……


へっ?

ちょ、コレ、結構高くないっ?


「そちらは、デザイナーの手作りのものなんですよ~ウチのお店に置いてあるものは、すべて一点モノなので」


ストラップを前に迷ってるあたしに、見かねた店員さんが説明してくれる。


だから、こんなにするんだ……

普通の携帯ストラップの何倍も高いもん。


「い、いいよ、市川君」

「何で?気に入ったんじゃないの?」

「確かに、気にいったけど……カワイイって思うけど……」


こんなの、いくらプレゼントだからって、もらえないよ。

やっぱり、あたし、あのウサギさんだけで十分。