放課後は、秘密の時間…

ソフトクリーム一つ食べただけなのに、こんなにはしゃいじゃっていいのかな?


教育実習も頑張ったし……

少しくらいは、いいよね?


「ねぇ先生、次どこ行く?」


市川君が楽しそうな顔してくれると、あたしも自然と楽しくなっちゃう。


「そうだ先生、ゲーセンでさ、プリクラとろうよ?」

「付き合った記念に?」

「うん」


あ、でも……

撮っても、あたし達、誰にもあげられない。

秘密、だもん……


「だから、記念だって。誰かにあげるためじゃなくて、俺が撮りたいの」

「うん……そっか、そうだよね!じゃあ、撮ろっか?――でも、言っとくけど……」

「?」

「あたし、ラクガキだけはものすごい下手だから」

「えー?美術の先生なのに?」

「そんなの、関係ないよぅ」



結局、ラクガキは全部市川君任せになって。


書いてくれたのは、「誕生日おめでとう」の文字。

あたしにとっては、一番、嬉しい言葉だったんだ。


付き合った記念っていうよりも、誕生日記念のプリクラ。

市川君、ありがと……