だけど、言えなかった。

あかりが、どれだけあいつのことを好きなのか、分かってたから。


多分それは、俺があかりを想う気持ちと同じくらいの大きさなんだろう。


俺があかりのことしか考えられないように。

あかりも、あいつのことしか考えられないんだ。



付き合ったあの日から、二年半ずっと。


あかりだけを見てきた。

あかり以外の女なんて、この目に映らなかった。


そう言いきれる程、俺には彼女しかいなかった。


なのに、どうして彼女の唯一の存在が、俺じゃなかったんだろう?

どうして、他の男だったんだろう?


「あかり……」


好きだ。

好きなんだ。


「あかりっ……」


忘れるには、月日はあまりにも長すぎた。

過ごした日々を消し去ることなんて、出来るはずもない。


こんなに、好きなのに。


『大也、好きだよ』


そう言って微笑んでくれた君は、もう、記憶の中にしか存在しない。