放課後は、秘密の時間…

待って、待ってよ?

「決定」なんて言われても困る。


あたしと市川君は、一応、教師と生徒っていう立場なわけで。


しかも、ここに来たばっかりの実習生のあたしが、生徒をいきなり名前呼びするとか……

そんなのありえないよっ……!


「市川く、」

「キスいち~」

「えっ?」


市川君は、今日一番最高ってくらいの、極上の笑顔を浮かべた。

嬉しそうな声で、あたしに向かってささやく。


「市川君って呼んだら、キス一回って言ったでしょ?セーンセ」

「えっ、えっ、ちょっと待っ、」

「待たない」

「いっ……ん……!」


嫌がる暇なんかないまま、市川君はちゅっと音を立ててあたしにキスをした。

瞬きみたいなほんの一瞬で、唇に柔らかいものが触れる。


パッと口元を押さえたあたしに、


「センセ、拓真!覚えろよ?」

「――っ……!」

「こんな軽いキスくらいで、そんな真っ赤な顔しないでよ」


ショックで、もう言葉も出ない。


一度足らず、二度も……

二度もキスするなんて――