この手に捕まえたと思っていたのに、目の前で奪われるなんて。
いや、元々奪おうとしたのは俺だったんだ――……
完全に電車が見えなくなってからも、俺はその場を動けずにいた。
ポケットの中に突っ込んでいた携帯が鳴り出して、それをのろのろと手にする。
「――もしもし、拓真?圭だけどーあかりちゃん、見つかったか?こっちは全然ダメだわ」
「………」
「拓真ぁ?聞こえてる?」
「……行っちまったよ……」
「はぁ?何だって?」
「先生、行っちまったんだ……」
あと少し、早く先生を見つけられたら。
いや、元々賭けになんて乗ってなかったら。
後悔すれば、キリがない。
「ばっかやろー!何情けねぇ声出してんだよ!」
突然怒鳴りだした圭の声が耳に響いて、我に返った。
「何があったか知んねぇけどな、諦めてんなよ!あかりちゃんのこと、好きなんだろうが!」
「………」
「行っちまったんなら、捕まえられるまで追いかけろ!」
「追いかける……?」
そうか……そうだよな。
圭の言う通り、この手にもう一度抱きしめられるまで、追いかければいいんだ。
――何度でも。
いや、元々奪おうとしたのは俺だったんだ――……
完全に電車が見えなくなってからも、俺はその場を動けずにいた。
ポケットの中に突っ込んでいた携帯が鳴り出して、それをのろのろと手にする。
「――もしもし、拓真?圭だけどーあかりちゃん、見つかったか?こっちは全然ダメだわ」
「………」
「拓真ぁ?聞こえてる?」
「……行っちまったよ……」
「はぁ?何だって?」
「先生、行っちまったんだ……」
あと少し、早く先生を見つけられたら。
いや、元々賭けになんて乗ってなかったら。
後悔すれば、キリがない。
「ばっかやろー!何情けねぇ声出してんだよ!」
突然怒鳴りだした圭の声が耳に響いて、我に返った。
「何があったか知んねぇけどな、諦めてんなよ!あかりちゃんのこと、好きなんだろうが!」
「………」
「行っちまったんなら、捕まえられるまで追いかけろ!」
「追いかける……?」
そうか……そうだよな。
圭の言う通り、この手にもう一度抱きしめられるまで、追いかければいいんだ。
――何度でも。

