放課後は、秘密の時間…

「や、約束って……そっちが来いって言ったんでしょ?」

「そうだけど」

「でも、今日だけだから!こういうの、ほんと困るし……」


こんなとこ誰かに見られて、あることないこと噂にされでもしたら……

これから、どんな顔して来たらいいの?


あたしの実習、まだ始まったばかりなのに。


事件とかスキャンダルなんて、絶対おこしちゃいけない。


「だ、だから……」

「だから?」


言葉につまっちゃダメだ。

こういうのは、ちゃんとハッキリ言わなきゃ。


覚悟を決めて、思い切って口を開いた。

無意識に声が大きくなって、


「もう、市川君のいうことなんて聞かない、からっ……!」

「へぇ?」


笑顔を消した市川君が、あたしにゆっくりと近づいてくる。


彼が一歩進むたびに、あたしも一歩下がるけど……

背中に壁があたって、ついに逃げ場がなくなって。


視界には、市川君しか映らなくなった。

冷や汗が、嫌な感じに背中をつたっていく。


不機嫌そうな視線があたしを射抜いた。


「先生さぁ、そんなこと言える立場じゃないでしょ?」