放課後は、秘密の時間…

「どこに行くの?」


声と同時に、ぐっと手首を掴まれた。

暗い室内から現れたのは、


「市川君っ……」

「何驚いてんだよ」


確かに、彼だ。


「俺、待ってるって言ったじゃん」


市川君がにこっと微笑えむ。

だけどその笑顔は、今のあたしには純粋に見れなくて。


悪魔が笑うと、こんな感じなのかも……

なんて、思っちゃう……


「あの……手、手放してっ……」


このまま押さえつけられて、もし、また無理やりキスなんかされたら――

……怖い。


ビクビクしながら、掴まれたままの手首に視線を送ると、


「そんなに怯えないでよ。別にとって食いやしないよ」


市川君は、あっさりとその手を放した。


「今はね」


なんて、恐ろしい言葉を語尾につけて。

近くの机に腰掛けて、彼は楽しそうに言った。


「先生、ちゃんと約束守ってくれたね?」