『あたしも、市川君が好き……』


何度も何度も、その言葉を頭の中で繰り返してる。


夢じゃねぇ……よな?


確かめたくて、先生の細い体をきつく抱きしめた。

柔らかい髪が、俺の頬に触れる。


「市川君、苦しいよ……」

「……うん」


ヤバイ、俺……

なんか、泣きそう。


急に目頭が熱くなって、俺は先生の肩に顔をうずめた。

幸せすぎて涙ぐむなんて、どうかしてる。


「……いちかわ、くん……好き」


一度は、諦めかけた人。

でも今は、俺の腕の中に確かにいる。


好きだって、小さく繰り返してくれる。


この言葉を聞くために、今まで、俺、本当必死だったんだ。

バカみてぇに、なりふり構ってらんないくらい。


あの時から、俺は先生しか見えてなかったんだ。


――そう……

俺が初めて先生に出逢った、あの日から。