放課後は、秘密の時間…

自分の行動をこれほど後悔したことって、きっと今まで一度もなかったと思う。


昨日、美術室にさえ行かなければ、こんなことにはならなかったのに。

そう思っても、もう遅くて。



――放課後。


誰もいなくなった教室の戸締りの確認をして、あたしは仕方なく美術室へと向かった。

やたら重い足が、美術室に行きたくないっていう今の気持ちを、リアルに表現してる。


市川君は、もう来てるのかな……

一体、どうしたいんだろう?


授業中にあんなもの見せて、何をするつもりなの?

昨日は、「付き合って」って言ってたけど……本気?


心の中に広がるのは、不安ばかり。


緊張しながら戸を引くと、室内は真っ暗だった。


市川君は、来てない?

……ってことは、やっぱりあたし、からかわれてただけ!?


一人で落ち込んだり、緊張したりして……


「……あたしって、ほんとバカ」


何してるんだろう?


ここまでくると、本当に自分が情けなく思えて。

だけど一方で、心の底から安心してるあたしもいる。


「職員室、戻ろ……」


美術室を出ようとした、そのとき。