放課後は、秘密の時間…

驚いてる間にも市川君は駅を出て、タクシーにあたしを放りこんだ。

すぐ隣に自分も腰を降ろして、行き先を告げる。


その間も、あたしの手を握ったまま。


「市川君、あの……」

「やだ」

「まだ何にも言ってないよ?」

「手離して、だろ?やだ」

「………」

「離したら、先生、逃げそうだし」


逃げないよ……

もう、どこにも行かないよ?



あっという間に市川君が住んでるというアパートに着いて、あたしはそのまま彼の部屋に連れて行かれた。


玄関に入った瞬間に、また強く抱きしめられて、


「先生……」


市川君が唇を寄せてくる。


「ダメッ!」


それを両手でなんとか防ぐと、送られてきたのは不機嫌そうな視線。


でも、今のうちにちゃんと話したいの……

キスなんかしたら、そのことで頭がいっぱいになっちゃうから。


「――あたし、ね……昨日の放課後、聞いてたんだ……」