放課後は、秘密の時間…

――この声……


体中の細胞が反応する。

彼の低く響く声に――……


何で、ここにいるの?

何で、あたしを呼ぶの?


でも、会えないよ。

これ以上、傷付きたくなんかない……


唇を強く噛んで、振り向かずに改札を通った。


「大也、早く行こう」

「あかり?」


あたしの様子がおかしいことに気が付いたのか、大也が眉根を少しだけ寄せる。


「何でもないの……行こ?」


早く、ここから離れたい。

行き先なんか、もうどこでもいいよ。


彼がいない場所に、連れていってくれるなら。


きっとこの人ごみが、あたし達の姿を隠してくれる。

だから、早く。


思わず、繋いでいた大也の手を強く握り締めてしまう。


「……あかり」


一瞬だけ、何か言いたそうな顔をしたけれど、大也はそのままあたしの手を引いてホームへと向かった。