放課後は、秘密の時間…

「……どこに行くの?」


あたしの問いかけに、大也は答えない。

手を繋いだまま、ただ歩き続ける。


「ねぇ、大也?」

「あかりが泣けるところ」

「……え?」

「詳しいことは聞かねぇよ。ただ、そんな顔ずっとされてると、俺もたまんねぇから」

「………」

「つっても、どこ行くか決めてねぇんだけどな」


困った笑顔を浮かべて、どうすっかな、と大也は呟いた。


――大也、どうして……?


「あたし、そこまで優しくされる資格ない……」


大也よりも、市川君のことを好きになっちゃったんだよ?


今だって、そう。

あたしの心の中は、まだ、市川君でいっぱいなのに――……


今日だって、別れ話をするつもりで、大也を呼び出した。


それに気付いてるはずなのに、何でここまでしてくれるの?


「……たしのことなんか、放っておけばいいのにっ……」


吐き出した言葉に、大也はふっと笑った。


「何言ってんだよ。放っておけるワケねぇだろ?」