「――先生と学校で会えんのも、今日が最後かぁ」


お昼休み。

あたしのお弁当を食べながら、市川君が呟いた。


「そうだね……市川君とこうしてお昼食べれるのも、今日が最後だね」


そう考えると、ちょっと淋しいな……


教室で男友達とはしゃいでる市川君も、授業中こっそり居眠りしてる市川君も、きっともう見られないだろうから。


「淋しいね……」

「そう?俺は先生の実習終わるの、待ち遠しくてしかたなかったけど」

「どうして?」

「だって、実習終わった瞬間から、先生は俺のものになるだろ?」


顔いっぱい笑顔にして言う彼に、あたしは照れながらも頷いた。


「このくらいで照れんなよ、先生」

「……だって……」

「これから、もっと照れるようなこと、いっぱいするんだから」

「え?」


気付いた時には、市川君の顔がすぐ傍にあって。


「市川君、顔、近いっ……」

「うん、キスするからね。近くて当然じゃない?」

「だって、ここ学校、」

「今までだって、何度もしたじゃん」


ね、と微笑んで、彼はあたしの唇に、そっと自分のものを重ねた。