声を荒げると、市川君は本当に嬉しそうな顔して。

もう一度、あたしをぎゅっと抱きしめた。


「キスできないから、今はこれで我慢する」

「……腕、苦しいよ……」

「うん、苦しくしてるもん」

「どうして……?」

「先生が俺のものになったって、実感してるから」


市川君の言葉一つひとつが、胸をくすぐっていく。

そのたびに、あたしはいちいちドキドキしてしまうんだ。


そうだ……

市川君に、ちゃんと謝らなきゃ。


「この前……ひどいこといっぱい言って、ごめんね……」

「いいよ、そんなの」

「でもっ……」

「じゃ、玉子焼き作ってきて。甘いヤツ。それで、許してあげるからさ」

「そんなことで、いいの……?」


それがいいんだ、と市川君は笑った。


「明日の昼休み、一緒にメシ食お」


どうしよう……

あたし、今この瞬間も、市川君を好きになってる。


気持ちなんて、溢れ出したらキリがないんだ。

あたしは、どこまで市川君を好きになるんだろう……?