放課後は、秘密の時間…

ほんの数日の、短い間で……

市川君は、あたしの心、全部持っていったよ?


初めて会った日から、あたしの胸に勝手に居座って。

いつの間にか、その居場所をどんどん大きくしていってた。


あたしの心の中、もう、市川君でいっぱいなんだよ……


「……好きに、なっちゃったよ……」

「――知ってるよ」


――え……


「そんなの、とっくにわかってる」


低くて、少しかすれた声。


眠っていたはずの彼が、その眼にあたしを映している。


「……どうして……い、ちかわく、」

「俺、言ったじゃん。先生は嘘が下手なんだって」

「……起きてた、の……?」


あたしの話、ずっと聞いてたの?

今のも、全部……


小さく頷いて、市川君は体を起こした。

彼の長い指が、あたしの頬を濡らしている涙を拭う。


「だから、先生……もう一度、聞かせて」

「………」

「先生、俺のこと好きだよな?」