放課後は、秘密の時間…

「市川君は、まだあたしのこと、好き……?」


問いかけても、返ってくるのは静かな寝息だけ。


こんな風にそばにいられるのは、きっと今日が最後。

実習が終わってしまったら、もう彼に会うことさえできないんだ。


「あたし、ね……」


この想いを、言葉にすることなんか許されない。

そんなの、痛いほどわかってる。


でも、今なら……

彼が眠ってる今だけなら、いいかな……


市川君には、届かなくてもいいの。


目が覚めたとき、彼が何も知らなくても……

あたしは、今日のこと、ずっと覚えてるから。


ねぇ、市川君……

あたし、ほんとはね、市川君のこと――……


「……好き……」


言葉にした瞬間、視界が滲んだ。

どうして、涙が溢れてくるのか、わからない。


ただ、切なくて……


こんな気持ち、「好き」の一言じゃ、きっと足りないけど。


「……好きなの……」