放課後は、秘密の時間…

連れて行かれたのは、大也の部屋だった。

玄関の扉が閉まると同時に、壁に体を押し付けられる。


「頼むから、これ以上俺を怒らせるな」

「……だ、いや……」

「それともお前は、また俺を裏切るのか?」


違う……

そんなつもりじゃなかった。


「やり直そう」って言ってくれた大也を、大切にしなきゃって……

大也一人だけを好きでいなきゃって、心から思った。


市川君に別れを告げたのだって、大也をこれ以上傷つけたくなかったから……


――でも……


頭ではそう理解してるのに、体が、心が、勝手に動いてしまう。


この目が、市川君を見つけてしまう。

あのダークブラウンの髪を、人ごみの中に探してしまうんだ。


「……あたし、は……」

「間違いは誰にでもあるよ。でも、繰り返すな」


何でだろう……?

大也の言葉が、胸にひっかかる。


「好きだよ、あかり」


視線を合わせたまま、大也の顔を近づいてくる。


あたしはこのまま、キスを受け入れるべきなの――……?