放課後は、秘密の時間…

唇を割って、大也の舌が深く入り込んで来る。


「……んんっ…やぁ…」


いやっ……!

どうして、こんなこと――……


「ねぇ見て、あのカップル……」

「うわぁ、激し~」


近くにいる人たちの声が、雑音に混じって聞こえてくる。

大也にもそれは聞こえているはずなのに、一向に離そうとしてくれない。


あたし達の姿は、向こう側にいる市川君にもきっと見えてる。


――お願いだから。


見ないで……

市川君にだけは、こんなところ見て欲しくないっ……!


抗議の意味を込めて大也の胸を思い切り叩くと、唇がすっと離れていった。

だけど、あたしに向けられた冷たい目だけはそのままだ。


「来いよ、あかり」

「だい、あっ……」


あたしの腕を固く掴んだまま、大也が歩き出した。

立ち止まろうとしたあたしを、強い力が乱暴に引っ張っていく。


市川君を振り返る暇さえない。


いくら大也を呼んでも、あたしの声に全く耳を傾けようとしない。

ただ、激しい怒りだけを感じる。