放課後は、秘密の時間…

「――それじゃ、帰るか」


店のドアをくぐると、弱い雨がパラパラと降っていた。

雨を見ると、あの日のことを思い出してしまう。


小さなビニール傘に、身を寄せて一緒に歩いた彼。


……市川君……


「あかり、行こう」


突然、大也に腕を強く掴まれて、はっと我に返った。

まるで、あたしを引きずるみたいに大也が早足で歩く。


「大也、待ってっ……腕、痛いよ」

「他の男のことなんか、思い出すな」

「――え……」


赤信号で足を止めた大也が、冷たい目であたしを見下ろした。


「俺以外の男のことを考えるのは、許さない」

「……大也……」

「いいな、あかり?」


さっきまでの大也と、全然違う。


掴まれた腕に力がこもって、その部分に痛みが走った。

威圧感さえ感じさせる大也の視線に耐え切れなくなって、目を逸らしたあたしは……

その先に、見つけてはいけない人を映してしまった。


横断歩道の、向こう側にいたのは――……


「……市川君っ……」