――土曜日。


せっかくの休みなのに、あたしは一人部屋に閉じこもっていた。


何かをする気分には、到底なれない……


だけど、今日が休みっていうだけで、あたしの心はいくらか軽くなっていた。

平日なら、学校で、嫌でも市川君と顔を合わせなければならないだろうから。


あんな別れ方をして、何事もなかったかのように、「先生」として彼の前に立つことなんか出来ない。

今のあたしには……絶対に。


それに、市川君もあたしとなんか、きっと会いたくないだろうから……

あんなひどいことばっかり言ったんだもん。


――あたしのこと、嫌いになったハズよね……?


それでいいんだ。

自分でそうなるように仕向けたんだから……


後悔なんかしちゃダメだ。


「これでいいんだから……」


自己暗示をするように声に出すと、虚しい気持ちが押し寄せてくる。


その時、


PIPIPIPIPI……


携帯電話が鳴った。


『着信中 大也』