ぼんやりしていた頭が、段々ハッキリとしてくる。

大也の言葉を確かめるように、あたしは携帯電話に耳を押し付けた。


「これからって、い、今から!?」

『おう、ダメか?』

「ダメじゃないけど……」

『それじゃ、あと15分くらいで着くから』


「じゃ、また後でな」なんて言って、電話はプツンと切れた。


今からって……15分って。

あたし、起きたばっかりなのに!!


土曜の今日は学校も休みで、久しぶりに家でゆっくり過ごそうと思っていたあたし。

それなのに、あんなリアルな夢は見るし……


これから大也が来るなんて!


ううん、大也がくることはいいの。

そうよ、あたしだって会えるのは嬉しいし。


問題は、あたしが寝起きですっぴんだっていうことと、まだパジャマ姿のままだということだった。


人間、追い詰められると普段は出ない力が発揮できる。

大也が来るまでの15分間で、着替えと化粧をハイスピードで終えて、あたしは簡単に部屋を片付けた。


そのとき、ちょうどよく鳴り響いた、インターホンの音。


――ピンポーン……


扉を開けると、


「おはよ、あかり!」


笑顔で立っていたのは、もちろん大也。