東条の作った飯は意外にも、
うまかった。


バクバクと食うだけ食って、
あたしはリビングで
タバコに火をつけた。

「ふぅ〜…」

少しだけ、イライラも治まった。

けどやっぱりまだ、イラつく。
夜の街に出てひと暴れしたい気分。
………出来ないけどさ。

「萌依さん、タバコ吸うなら窓を開けてからお願いしますね」

颯がそう言った。

颯は、気が利くイイ子。

見た目は……あれだけど、
中身は、不良には思えないよ…。

「さん、いらねぇ。敬語も使うな。ウザい」

「………わかった。じゃあ、自分で窓開けろよ?」

「それくらいやってくれてもいいだろーが」

「自分でやることで、習慣として身に付くんだよ」

颯は、タメ口になった途端、
イメージがガラリと変わった…。





「颯って、何者だよ…」

ボソリと呟いた声は、
誰の耳にも届いていないー…。