なのに、優しく、私に接してくれるのは、何より嬉しい
とても、あの最低な男に使えてるなんて信じられないくらい
あの夜のことは、全然に忘れられない
たぶん、アイツをみたら私は怖くて、またあんなことされるって恐怖から怯えてしまう
けれど、それは私とアイツの問題で、アイツの言葉に騙された私も悪い
あーなる、って、予想していたら良かったこと
いつまでも、落ち込んでないで、そーゆうもんなんだ!って、割りきればいいのかもしれない…
そう考えたら、心配をしてくれるサイさんに悪い気がして…
「頂きます、もも…大好きなんです」
「本当ですか?」
「はい」
私がそう言うと、サイさんが、微笑みニコニコしながら皮をむいていく
「このももは天界のももで、人間界のものより果肉の色が濃く皮と同じくらい桃色なんです」
「え?あ、本当に!ピンクだ」
皮をむく彼の指先をずっと眺める
ねぇ、扇李…私には本当にあなたがなんであんなことをしたのか分からない
大嫌い!そう叫んだ私にお前は俺の花嫁、って冷たい目をしながら言った
あれは、なんだったの?
扇李の心、あなたが本当は何を望んで私をどうしたいのか
私には分からない―…
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