「沙優様はももはお好きですか?」
「…もも?」
サイさんの手元には鮮やかなピンク色をしたいい香りのするもも
「人間の女性はフルーツが好きだと聞きました、沙優様にと思い、持って来たのですが、いかがですか?」
ニコリと笑い、綺麗な瞳が私の視界にはいる
「…」
「あ、ももはお嫌いですか?それなら、メロンや柑橘類のものもありますが」
「………」
「あと、バナナやパイナップルに苺や洋梨もあります。沙優様が食べたいものを言って頂ければ早急に用意致します」
ただ、黙ってる私に必死にフルーツを進めようとするサイさんに思わず口元が微かに緩んだ
サイさん…
たぶん、こんな私を心配してくれてるのは必死になってくれてる姿で、その事が分かる
だけど、扇李に無理矢理…
なんて事は言いたくないし知られたくない
何も知らないサイさんからしたら、翌朝来たら私がこんなんだから
不思議に思ったりするだろう…
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