痛くて、痛くて、仕方がなかった行為がいまでも身体に残ってる。


ううん…身体だけじゃない、それ以上に私の心は張り裂けそうなくらい痛い…






「………っ」


ギュと唇をかむと扇李が微かに身体を動かす


「しかし、泣くかと思ったが、やはりお前はいい度胸してる。あんなことされて、涙一つ流さないとはな」


シュと綺麗に帯を締めた扇李が、長い髪を後ろにかき分けながら、私を振り替える


「…………っ」


だけど、私は彼に視線を会わせない






そう、彼の言う通り私は扇李に抱かれても、涙は流さなかった


それは、我慢でもなんでもない、ただ…泣きたくなかったんだ


痛くて、苦しくて、行き場のない感情を扇李になんか見られなくなかった。それはただ、私の意地に過ぎないけど



扇李になんか、涙を見せたくなかったから…



「……っ」


そんな風に、黙る私に扇李はふっと鼻で笑う


「なんだ、我の顔も見たくないか。まぁ、いい。我もお前には用は終わったからな」


そう言うと、扇李はドアに向かって歩いていく




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