「……え?」


もしかして…


「サイさんは一緒に行ってくれないんですか?」

「はい…申し訳ありません。私は沙優様の荷物を部屋に置いたりやることが残ってますので…それに、王の間には沙優様一人で、と…扇李に言われていますから」



そんな…!


そんなに長い時間ではなかったけど、サイさんは私に色々教えてくれたし、優しいし、今の私には一番頼りになる人なのに…っ


急に心細くなって、寂しくなる…


だけど、一緒に来て!なんて図々しい事を頼めるわけもなくて…



「……分かりました。一人で行って来ます」


「はい、ありがとうございます。それと、王の間に入って何があっても…怯んだり、弱音を吐いたり、涙を流す事はなるべく控えて下さい」


「え?」


「沙優様のことを、周りの者は、王の花嫁として見定めて来るでしょう。もしそこでなめられたら、終わりです。ですからそれだけは守って下さい」



頭を下げるサイさんに、私は小さく"はい"と呟いた

見定められる、あまりいい気分ではないけど


王の花嫁なら、それだって仕方がないことだ。


それに、扇李は私を悪いようにしない…そう言ってくれた



それを信じるしかない。



「じゃあ、行って来ます」


「はい、お気をつけて」


サイさんにそう言い、私は王の間にむかった




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