――――――……
「わたし…何か悪いことをしちゃった、かしら?」
沙優がいなくなったあと
彼女の後ろ姿をみながら、弥生が言う
「いえ、そんなことは」
「そう…かしら…なんだか、ごめんなさいね?」
「…」
「泣かせちゃったなんて、悪いことをしたわ?」
そんなことはない、沙優が泣くのは仕方がない…
あんな風に愛情溢れた事を言われ…大好きだった物や思い出を話されたら
と、サイは思い弥生に向かって静かに微笑む
「そんなに気にしないで下さい…母親に似て少し涙もろいだけですから」
「そうなの?あ、もしかして貴方は彼女の旦那さん?」
そんな質問にサイは苦笑いをすると、弥生はパァと笑顔になる
「そうなのね?じゃあ、これ彼女に渡してくれる?」
サイにさっきの葡萄を差し出し弥生は満足したように肩をおろした
「彼女にね、沙優ちゃんを宜しく頼みますって伝えてくれる?あと、沙優ちゃんには貴方が元気で本当に心から安心ですって。事情があるなら会いに来なくてもいい、だけど幸せに暮らしてね?って」
そう言う弥生にサイは頷き、手をふる弥生に頭を下げ葡萄を抱えて傘を広いながら沙優のあとを追った
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