「う、うそっ…嘘でしょ?扇李」
あれから40年が経過したって、そんなのありえない…
「冗談はやめてよ」
はは、と苦笑いをするけど扇李は真剣な瞳で私をみつめる
「嘘じゃない、今更お前に嘘なんかつくか」
「あ……だ、だって」
じゃあ、なに…40年ってことは人間界にいる院長様や子供達はもう子供や院長様じゃなくて…
立派な大人になったり、もしかしたらもう人間界にいないかもしれないの?
私がいなくなった後も、平和に約束通り扇李に守られながら暮らしてるって思ってたのに?
いまは……そうじゃないの?
院長様も…計算すれば100歳に近い…もしかしたら…もう…
そんなマイナスな事を考えて顔を歪めると、扇李は無意識に力を入れていた私の手にふれて…
「安心しろ、院長は生きてる…子供達もな」
「…え?」
生きてる?子供達も?
「本当に?」
「…あぁ、だから安心しろ」
そ、そっか…そっか
「良かった…」
生きてるんだ…良かった…もしもの事があったら私はきっと心の準備が出来てなくて、泣いていた
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