扇李、いま…
「…濡れ衣って…言った?」
「………」
雨の日、私が未来さんを傷つけたと、扇李に言われたのに
なんで濡れ衣って…
「扇李」
「あんなの、お前がやってないなんて分かってる」
「…」
「沙優はそんなヤツじゃない」
「………」
じゃあ、扇李は最初から私じゃないって分かってたのに、あんなことを言ったの?
そんなの…
「ひ…どいよっ」
私があの時、どんなに苦しんだと思ってるの?
苦しくて、辛くて、帰りたいって思って
馬鹿みたいに泣いたのに…扇李は最初から私じゃないと思ってた?
それなら…っ…あんなこと言わなくてもいいのにっ
「…ばかっ」
扇李の身体を引き離して背中を向けると、私を慰めるように彼は私の頭を撫でる
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