この涙のわけは、分かってる…
こんな熱いキスをする扇李の気持ちがわからないことだ
だから…気持ちよくて…もっとしたいと思う反面
彼の気持ちをしらない私にとっては、好きな人からされるキスは幸せじゃない
このキスは…私を狂わせる甘い毒なんだ…
だから…これ以上は辛くて…
「扇…李っ」
全く離そうとしない扇李の胸板を押すと、名残惜しそうに唇が離れて
彼の指先が私の唇を丁寧に拭きながら、目から流れた涙を同時に拭いてくる
「名前…呼ぶなって言っただろう」
「…っ」
「しかも、なんで泣くんだ…」
次々に流れ落ちる涙を扇李は拭いてくて、さっきとは違う…優しい声で私にそう言う
「だっ…て」
なんで、そんなの言わなくちゃ分からないの?
分かってる、くせに…
「好きだから…だよっ」
「………」
「好きだから…扇李からキスしてくれるのが…嬉しいのっ…扇李が私を好きじゃなくても…私は…好きなんだもんっ」
バァと涙があふれて、それを隠すように手で顔を覆おうとした時だった―…
「そんなこと…言うな」
ゾホリと扇李が呟くと、立ちすくむ私を軽々と持ち上げ、扇李らしくなく
優しくベッドに私を下ろした
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