院長様にはかなわない


なんで、バレちゃうんだろう


「…ぐすっ」


そんな私に囁くような声で院長様がいう


「ねぇ、沙優?」

「ぐすっ…は、ぃ」

「何があったかは聞かない。たぶん、沙優の様子からして言えない事だと思うから」

「………っ」

「でもね、沙優は強くなったの。ここに来たばかりの泣き虫な沙優じゃない。人一倍情に弱くて…優しくて、強い子なの。だから、大丈夫よ…貴女なら、今抱えてる問題を解決出来るから」


「…院長さまっ」

「もしね、それでも辛くて解決出来なかったら、私にいいなさい。一緒に答えを探しましょ」


「…………っ」


院長様…わたしは、あなたが思うほど強い人間なんかじゃない…


何度決心をしても神様の花嫁になるのが、守るためとは言えど怖くて仕方がない


扇李が一人にはしない、そう言ってくれても


私には色々な感情が襲って来て、いま…こうして声を聞いただけで泣いてしまうんだ



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