「呉羽さん!やめて下さい…」
彼の肩にふれて、必死にそう言うけど彼はやめようとしない
冥界の王様が、たかが私なんかに頭をさげるなんてよくないよ
それに、私は別にそんなことを望んでない
「呉羽さん…わたしは…いいんです」
「……え?」
「未来さんのことも、呉羽さんのことも…恨んでなんかないんです」
恨むとか、憎むとか…許すもなにも…私はそんなことは何も考えてなかった
ただ…扇李にわかってもらえない苦しみだけで…胸がいっぱい
だから…
「呉羽さん、顔をあげて下さい」
そう言うと、呉羽さんは私を見上げるように顔をあげて私は微笑む
「わたし、呉羽さんがそーやって言ってくれるだけで満足です」
「………」
「だから、気にしないで下さい」
「だけど」
「そんなに言うなら、許します!未来さんも呉羽さんも!」
目の前で手を握りそう言うと呉羽さんはやっと顔をあげてくれる
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