「沙優が葡萄なら食べると言うから、久しぶりに狼になって急いで持って来たんだ。有り難く思え」
「………あ」
急いで?だから、あんなに早かったの?
扇李…そんな思いを聞かされたら、扇李に相当嫌な嫌がらせをしたって自覚して胸がズキッと痛む
「…ごめん、なさい」
「あ?なぜ沙優が謝る。気持ち悪い事を言うな」
「………」
「それより、約束通り食べろ。これは皮をむくんだろう?そう聞いた…むいてやるから食え」
巨峰を手にとり、器用に皮をむいていくと私に向かってそれを差し出す
「あ…ありが、とう」
扇李が葡萄の皮をむいてくれるなんて、前代未聞の出来事に手を伸ばすと
"違う"と言いながら葡萄を上にあげてしまう
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