「さぁ、手を」

「……っ」


「神の花嫁になるのが怖いか?自分が自分でいられるか…不安か」


私の背中からきっと前と同じように、扇李は感情を読みとってる


それは、私自身も知らず知らずのうちに秘めてる思い―…


言われてしまえば、扇李の言う事はあたってる


「あなたが、守ってくれるのは分かり…ましたっ」


「そうか」

「だけど、あなたの花嫁になったら、私は私でいられるんですか?」


そう言うと、扇李は私の背中をさすりながら優しく口元を緩めた


「あぁ、お前が…お前であることはかわらない。特別な力がつくわけでもない」


ほ、本当に?


「………っ」

「もし、我の世界で何かがあれば守る。だからこい…この施設のためにも、自分のためにも」


「……」

「そして、俺のために」


そう言い、私の背中を支えながら再び左手が私に差し出される


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