それなのに…
「……っ」
扇李に振り払われた手を握ると、その時の冷たい視線が頭によみがえる
「信じてたぶん…辛いよっ」
「「……」」
扇李に手を振り払われたことも
嫌な女って言葉も、信じる価値もないって事も
好きって気持ちや、信じてるって思いが強くて
それを、裏切られたようで辛い…
「…うっ」
「……沙優様」
「こんな思いをするなら、最初から扇李を知らなければ良かった…っ!優しさも、温もりも、全部…全部!」
身体中が覚えてる記憶を全て消してほしい
そうすれば…こんなに辛くなんか…ない、のにっ
「…グズ…っ…う」
消してよ、抹消してよ…全部、全部っ!
そう考えてると…
「沙優様」
「沙優」
「…っ」
左汰と右汰に名前を呼ばれて見上げると、スッと私に片手を差し出して来る
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