「あの…扇李」


本当に無理だよ!せめて少しでも離れたくて…


扇李の胸元に手をそえた時だった―…



「沙優…」


「…へ?」

聞こえて来た声に扇李をみあげると、額にチュとリップ音がする

え…いま、キス…した?

「扇李?」

「緊張するな、我だって緊張してるんだ」

「え?」

扇李も緊張してるの?


「お前が色々考えて緊張してるなんて、分かってる。だがそれ以上に我だって緊張してるんだ」


そう言い私の手を取り自分の胸元に手を当てると、ドキドキと扇李の鼓動が速いのが分かった


本当に、この扇李が緊張してるの?嘘みたい


「…一緒、ってこと?」

「あぁ」

そ、そっか…私だけじゃないんだ…なんか、嬉しい


そう考えたら、また襲われるとか、扇李に対する気持ちとか、緊張がスーと消えていって…







「あ…暖かい、ね」


扇李の温もりに身を委ねるように私も目をつぶる


「お前は少し冷たいな」

「女の子だから、冷え性なの」

「そうか、なら調度よいな」

「……ぅん」