チクリとぎゅー…と胸が痛い


なんで痛いとか、わからない。

だけど、とにかく痛いんだ…扇李をみると胸がいたい

こんなに近くにいて、扇李の熱が身体に伝わって痛くて、どうしようもなくて



「…………」


ただ、何も言わないでいると


「ただ…」

「?」


目を閉じたまま、口を開く扇李

「ただ?」


「守りたい気持ちは、少し理解出来る」

「え?」

「我は、沙優の事を守りたいと思う」


「………………」


ストレートに、はっきりと言う台詞に思わずポカーンとしてしまう


な、なにそれ。いきなり!


いつも意味わからなくて、謝る時だって遠回しに言うのに、なんでそんな直球なの?


「あの」

「だから…」

長い手を伸ばして来て、私の頬に当たる


「そんな傷付いた顔をするな。愛せはしない、だが我が沙優の見方だ。何があっても守ってやる…前と同じようにな」


「………」



前って…施設でトラに襲われたこと?


それに、あの日、私を慰めてくれたように?