サラッと粗筋だけでも、愉快な話しなんかじゃないよ
悪魔に心をうったり、恋人が亡くなるなんて
「そんな悲しい本が好きなの?」
「好きとか、嫌いではない。その裏切った騎士の命を取り、悪魔になった女との争いの先頭にたったのが我々九条家だ。だから王である我が知らないわけにはいかないだろ」
そっか。趣味で読んでるんじゃないんだ…
「馬鹿な男だろう?」
「え?」
本を地面に置き、身体を倒したと思うと私の膝の上に扇李の頭が乗る
少しだけ、強引な膝枕に緊張しながらもそのままでいる
嫌ではない、それが私の気持ちだから
「その騎士は、恋人を選ばないで天界を選んでいれば王になれたはずだ。なれないとしても地位は高い一族だったんだ。だが、全てを捨てても恋人を選んだ、愚かな男だろ?」
どこか、馬鹿にしてる。だけど、それを言葉にする扇李はなんだかいつもと違う
普通なら、鼻で笑いながら見下すように言うのに、今…
それを私にきく扇李は少し悲しそうな瞳だ
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