「ねぇ、扇李?」
「…なんだ」
クルッと髪を回して、視線を髪に向けたまま彼の名前をよぶと、扇李も本から目を離さず口を開く
「ずっと、言いたかった事があるの。本当はさっき会ったばかりに言おうとした事なんだけど…」
「…あぁ」
ペラとまた一枚めくる
「この前、右汰が怪我した時、色々と有り難う。慰めてくれたり、色々と」
「別に」
「それに、部屋まで運んでくれたよね?ごめん、まさか寝ちゃうなんて思わなくて」
髪を離して、扇李に少し身体を預けるように力をぬくと扇李は私から手を離す
まるで、私がそっと扇李の肩にもたれかかるような格好に恥ずかしくなりながらも、そう言うと
やっぱり、扇李がまた本をめくりその意地悪な口元が動く
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